「「……さむ」」


響希と話をしたくて、いや言いたいことがあって外に出てきたんだけど、季節を考えてみたら真冬だった。




「杏、風邪ひくから中入ろ」



「まって、ここで話したい。…言いたい」


「…分かった」



「……」



言うだけなのは分かってる。でも、これは簡単ではない。




後のことも考えると、今言うべきではない。






「杏、早くしないとハグするよ?」


「!?」


ハグ!?


「寒いから」



分かってる。これは急かされてる。







「…私ね、ずるいことしようとしてるの。後で待ち受けてることを無視して、最低な人間になろうとてる…。
今、言うべきことじゃないけど……言っちゃいけないことなんだけどっっ」




「つまり?」

響希が一気に距離を詰めてきた。


「っ…つまり……!?」


響希は私と向かい合い、腰に手を回してきた。

私は完全に逃げ場を失った。



もう密着状態でパニック。




「早く言わないと…顔近づける」」


「っ…」

もう近いのよ!!




「…はやく」

「ひゃっ」


耳元で囁かれたっ。変な声出ちゃったよ!!