「じゃあ、咲良。分かりやすく自己紹介からやって」
「んん、えーと!原 咲良って言います!杏ちゃんの親友で、杏ちゃんが転校しちゃって寂しいから、私も来ちゃった感じです!
それと、さっきの発言はごめんなさい!ちょっと面白くなっちゃって、からかっちゃった!」
「か、からかっちゃったじゃないですよ!」
え、健が誰よりも返しが早かった。
「この状態でパニックになるのは分かるけど、いつもの健じゃないね〜。どうしたの〜
?」
咲良は相変わらずニコニコにしてるし。危機感を持たないのかな。
今、私以外の人間から疑われているのにね。
「どんなに頑張っても、原さんの情報は出てこないし、ていうか名前すらでてこないっすよ。只者じゃないことは確かっす。何者なんすか」
咲良は“モチ”だから情報が出てこないんだよね。
咲良はモチである事を、隠すのか隠さないのか分からない。
だから、私は下手に口出せないよね。
「どうだろうね!そうだなー、じゃあ矢田君は私の事をどう思う?」
「ぼ、僕…?」
ん?んんん?
「あー!なんかさっきから変だと思ったら、矢田君がいたからか!!
…どうしてここにいるの!?」
矢田君は苦笑いをして、いつもの余裕のある矢田君ではない。
そして、龍神の誰もが何も言わないのは何で?
「……僕、原さんは“モチ”だと思うな」
「「!?」」
矢田君に注目が集まったと思ったら、今度は咲良に注目が集まった。
咲良は表情をひとつも崩さない。

