「だから杏、もう戻ってきて欲しい」
何で…。何でそこまで。
でもっ。
「……ごめん、それは出来ないよ」
「何でよ杏!!私はもっと杏と話したり遊んだりしたい!仲間でいたい!!」
「私はまだ言えない秘密があるって言ったけど、本当にやばい事だからダメなんだ…」
「…自分と関わったら命が狙われるかもしれないから?」
「…矢田君」
矢田君が、会話に入ってくるとは思わなくて凄く想定外。
しかも、痛いところを突かれたし。
矢田君の発言に突っ込んでこない人は、多分いない。今、一緒にいるのは龍神だからね。
「杏の命が狙われてるってどういう事!?」
有紗の捉え方よ…狙われるのは貴方たちだよって事だよ?
狙われてるって言えばそうかもしれないけどさ、警察へ渡した人達に恨まれてると思うし。
変装してるから、身バレはしてないけど。
「理由は分からないけど、命が狙われるのは、私たち暴走族と変わらないわよ。組とかが関わってくるとかなり危険だしね。組は普通に拳銃とか持ってるわよ」
「…え、族が組と関わることなんてあるの?拳銃って…危ないすぎるでしょ」
私はちょっと族の事を舐めてたのかもしれない。
「そういうのは特殊ですので、前準備は完璧にしてるっす」
あぁ、分かっちゃった。そういう時は健が、大変なんだね。
「だから、杏の命が狙われていようと関係ない。杏の事は俺達が必ず守る」

