わがままな女神たち

「ねえ徹、ここは?」

連れてこられたのはビルの8階。
ちょうど工事中らしく、壁が取り払われ大きなワンフロアになっている。

「広いだろ?」
「え?」

「都心だから交通の便はいいし、近くには大きな公園もあるから緑も豊かだ。隣の町には大きなマンションがいくつも建設中で、人口自体も増えつつある。立地的には文句ないだろ?」

いくらいいだろうと言われても、乃恵にはさっぱり話が見えない。
もしかして、徹はここで会社でも始める気なんだろうか?

徹のお父様は会社の経営者だったと聞いた。
残念ながら徹が小さい頃に経営に行き詰まり倒産してしまったけれど、経営者の血は徹にも流れていると思う。

私にお金があれば、徹に起業させてあげたい。
徹なら、きっといい経営者になるはずだから。

その時、

「あれ徹、もう戻ってきたの?」
いきなり後方のドアが開き、女性の声がした。

声につられたように乃恵も振り返る。

「あら?」
驚いたように乃恵を見る女性。

こんな時間なのにきちんとスースを着たスタイルのいい美人。
格好からして水商売の人ではなさそうだけれど、化粧は派手め。目も鼻も綺麗に整いすぎていて作り物みたい。それに・・・

「オイ、口が開いてる」
徹に肩をツンツンとされ、乃恵は慌てて口元を引き締めた。