話せば話すだけ一華は気さくないい人で、麗子と過ごす3人の時間は楽しかった。

料理もたくさん食べ、ドリンクも堪能し、3時間ほどが過ぎたとき、

ウッ。
麗子が口元を押さえた。

「大丈夫ですか?」
仕事柄慌てることもなく、ハンカチとお水を差し出す乃恵。

「うん、ありがとう」
麗子は息を整えながら、お水を口にする。

「本当に、妊娠じゃないんですか?」
もう一度乃恵に聞かれ、
「違うわ」
はっきりと答えた麗子。

先月の生理は予定通りに来たこと。
元々胃が弱くて、胃薬も飲んでいること。
母が胃ガンの家系で、祖母も祖父も胃ガンにかかっていること。
それでも今回ほど強い症状が出たことはなくて、怖くて胃カメラに行けないでいること。
麗子は全てを素直に告白した。

「早く病院へ行くべきですね」
フォークを持つ手を止めてしまった一華の意見。

確かにそうなんだけれど・・・

「まずは孝太郎さんに話すべきじゃないですか?」
黙っているのはよくない気がする。