3人それぞれ悩みはあるものの、初めての女子会は楽しかった。

徹や孝太郎や鷹文の普段言えない愚痴を言い合って時々声が大きくなることもあったけれど、周囲の視線など気にすることもなく楽しんだ。

「ああー、楽しいわね」
「そうね。こんなに楽しいんなら又集まりましょうね」
麗子も一華も上機嫌。

学生時代から勉強ばかりであまり遊んだ経験のない乃恵にとっても、新鮮な体験だった。

「一華ちゃん。電話、出ないの?」

さっきから何度もなる携帯の着信。
相手を確認するものの、一華は電話に出る気はないらしい。

「いいんです。今日はみんな忘れてパアーッと楽しむんですから」
なんだか投げやりな言い方。

ちょっと心配だなと思ったその時、

「ねえお姉さん達」
いきなり声が掛かった。

え?
まさかここで声をかけられるとは思わなくて、3人とも固まった。

「随分楽しそうだから、声をかけちゃいました。よかったら一緒に飲みませんか?」

現れたのは20代前半の男の子2人連れ。

「いえ、私達は・・・」
一番近くにいた乃恵が断ろうとするけれど、

「いいじゃない。何でもおごるから」
ちょっと強引に席に座ろうとする。

これって、ナンパ?
ここは会員制クラブで、誰でも入れる場所ではないはずなのに。

「俺たちもここの会員なんだ。お姉さん達もよく来るの?」
すでにお酒が入っているのか、次々と話しかけてくる男の子達。

しつこいな、消えてほしいのに。
乃恵ははっきり言ってやろうとタイミングを見ているけれど、一華も麗子も笑って見ている。