わがままな女神たち

3人で一通り買い物をし、どこかでお茶でもって話がまとまり近くのカフェへと移動した。


「一華ちゃん、何があったの?」
一華がテーブルに置いた携帯をチラッと見ながら、麗子が聞く。

さっきから5分と置かず着信が続いている。
そのたびに相手を確認する一華だけれど、電話に出る様子はない。

「別に」
何もありませんと答えようとした一華の言葉を
「嘘はダメよ」
麗子が遮った。

「麗子さん・・・」

小さな声で呟き、フーッと息を吐いた後、一華はやっと話し出した。


話とは言っても、取り立てて何があったわけでは無い。
ただ少し窮屈で、息が詰まって、環境の変化になじめなくて疲れてしまっている。それだけのこと。
結婚し相手のご両親と同居をした人は、みんな体験することだろうと思う。

「それで、鷹文くんは何も言ってくれないの?」
一華の話を大体聞いてから、麗子が口を開いた。

こんな時旦那さんがきちんとフォローしてくれれば、大きな問題にはならない。
他人の家に嫁いだ女性にとって頼れるのは旦那さんしかいないんだから。

「言えば何でもしてくれますよ。でも、だからこそ言えないんです」

守口さんだって、優華や、鷹文や、浅井の家のことを思って言ってくれている。
お父様もお母様も優華をかわいがってくれているし、一華のことも大切にしてくれる。
みんな善意の行動である以上、文句の言いようがない。

それに、一華と同い年の鷹文は二十歳の時に不幸な事故にあい、8年間家族との連絡を絶っていた。
やっと元気になり戻ってきた鷹文をまたお母様から離すようなマネはできない。
今、親になった一華だからこそそう思える。