麗子と一華も久しぶりだったらしく、会話は弾んだ。
一華がなぜ泣いたのか麗子だって気にはなっているはずなのに、そのことには触れず楽しそうに近況報告をしている。

「どうせなら優華ちゃんにも会いたかったのに、今日はお留守番かあ」
「もう、麗子さんまで。実家に帰っても母さんは私より優華ばっかりで、全く相手にしてもらえないんですから」
「そりゃあ、孫はかわいいから」
「それでも・・・」
ちょっと唇を尖らせる一華。

かわいいな。
年上の人に失礼だけれど、自分にはないかわいらしさだなと乃恵は思った。

「ところで、2人はこれからどうするの?」
「「えっ?」」

「だってせっかく会えたんだから、時間があればどこか」
「行きたい。まずはショッピングをして、どこかで夕食を食べましょうよ」
麗子の言葉を一華が奪った。

「私はいいわよ。どうせ孝太郎は出張中だし」
と、乃恵の方に視線を送る。

「私もいいですよ」
乃恵も迷わず答えた。

このところ帰りが遅い徹。
朝出かける前に挨拶を交わすだけで、あまり会話もない。
それに・・・

「じゃあ、新しく出来たショッピングモールへ行きましょう」
すでに伝票を手に席を立った一華。

どうやらこの人は、見た目と違ってアクティブな人のようだ。
それに、麗子さんとっても気が合うみたい。

「ほら乃恵ちゃん、行くわよ」
いつの間にかレジまで行ってしまった2人の後を乃恵は追いかけた。