「え、席替え!?」
「うん!あさひちゃん、同じ班になれるといいね〜」
「ね!瑠璃(るり)ちゃんはどこの席がいいの?」
「え〜、多分無理だと思うけど、前の方の席で窓側がいいな♪」
「おぉー!私は後ろの方の席がいいかな。」
瑠璃ちゃんは、今でいう涼香みたいな明るくて元気な子だった。
五年生で初めてできた友達。
市井瑠璃。
「あさひちゃーん!」
いつもこんな感じ。
このときは、まだ涼香とは知り合っていなかった頃…

「え!私、窓側の席なんだけど!」
瑠璃ちゃんがにこにこしながら話しかけてきた。
「良かったね!私は…」
チラりと斜め後ろを見る。
「はぁ〜。私、沢田と隣の席なんだよね。」
「えっ!マジで!?」
「うん…」
「どんまい!」
そんな軽く言わないでよ〜。
私は正直いって、沢田のことが嫌いだった。
だっていつも、授業中うるさいから。
なんでよりによって沢田なのっ!
最悪…

「あさひおはよう!」
隣の席になってから、沢田が笑顔で話しかけてくるようになった。
「…おはよう、沢田。」
私はできるだけ沢田とは喋らないようにした。
だけど…
「おはようあさひ!」
毎日言ってくる沢田を無視することなんかできなかった。
それは、人間としてダメだと思うから。

それから一ヶ月後…
「おはようあさひ!」
「おはようさわ〜!」
あだ名で呼べるようにまでなっていた。
「…顔赤くね?」
「え、え、そう?」
そのとき私は、沢田を
好きな人として意識するようになった。
…これが、私の初恋。
それからは、授業中隣の席の沢田が気になってしょうがなくて、チラりと隣を見たりして過ごしていた。
いつか、バレるんじゃないかって思ってた。
だけど、誰にも気付かれることなく、二学期が終わった…

「ねーね!最近どう?」
新学期早々のこと、いつものように瑠璃ちゃんが私の席に来て言った。
「ん?どうって何が……」
「あさひ!とぼけないでよ。ねぇ、お願いだから教えて!」
「んー。」
本当は言いたくないのに…
だって、だって…
恥ずかしいんだもん!
でも、瑠璃ちゃんがどうしてもって言うなら。教えてあげようかな?
私は、一通りの出来事を瑠璃ちゃんに話した。
「えっ、それだけ?」
「うん…でも、結構進展あると思うけどな〜。」
「そっか…」
瑠璃ちゃんは少しがっかり。
それにしても、瑠璃ちゃんは恋バナとても好きなんだ!
瑠璃ちゃんに笑ってもらうためにも、私頑張ろう!