‪「あ、あのさ…」
今は、沢田と私だけ。
最大の味方、瑠璃ちゃんはどこかに行っちゃった。
「な、何?」
「あのさ、手紙ありがとう。」
「うん。」
喜んでもらえて嬉しい!
「…でも、ごめん。」
「…ぇ。」
「俺、あさひのこと好きだよ。だけど…今は好きじゃないんだ。」
沢田…
「手紙が汚くなってて…それで、手紙が少しくしゃくしゃになってて。」
う、そ…
「あと、手紙の内容が…あさひが俺のこと好きな気持ちは分かる。だけどね、この手紙を見たとき、読んだとき…がっかりした。」
そ、そんな…
「本気で俺のことを好きなのかが分からなくなったんだ。」
え…
「こんなこと言って本当にごめん。…だけど、ごめんなさい!俺は、あさひとは付き合えない。さっきのさっきまで、俺はあさひが好きだった。だけど、この手紙で好きっていう気持ちが薄れたんだ。」
これからは…
私が、沢田の彼女として、いれると思ったのに。
こんなの…
こんな言い方ってないよ…
私、頑張って頑張って手紙を書いたのに…
ぽろっと涙が出てきた。
「あさひ…本当に本当に」
「沢田、もういいよ。その手紙、返してくれる?」
沢田は一瞬戸惑った顔をしたけれど、すぐに頷いて、私に手紙を渡した。
私とお姉ちゃんの頑張りはどうなったの?
そんな疑問を全部沢田にぶつけたかった。
でも、そこまで言う勇気がなかった。
だって、沢田は私の手紙に対して言ってはいけないことを言ったのだから。
私が傷付く言葉を言ったのだから。
言ったって無駄。
もし、私が沢田に疑問をぶつけたら、どんなことを言われるか分からない。
多分、傷付く言葉を言うだけだろう。
だから、何を言われるかが怖い。
勇気が出ない…
私は沢田の手から手紙を取ると、教室のドアを開けて外に飛び出した。
沢田の声が中から聞こえてきたけれど、私は無視した。
もう、二度と、沢田となんか話をしたくない。
早く家に帰ってお姉ちゃんに、この話をしなければ。
そんな思いが、一気に涙となって込み上げてきた。
瑠璃ちゃんのことはもういい。
今は、一人にしてほしい。
ただそれだけだった。