次の日、センジュは鏡の前で自分に言った。


「やれる。絶対にパパを助ける」


自分を鼓舞し、立ち上がる。

丁度その頃、迎えが来た。

アルヴァン、セヴィオ、エレヴォスだ。


「準備はいいか?」

「はい」

こくりと頷いたセンジュの目は真っ直ぐに見据えていた。


馬を走らせ城の裏門を抜け、深い森を抜けると階段が見えてきた。

キラキラと日に照らされ透明な階段は輝いている。


「危険を感じたらすぐに戻ってきてくださいね」

「はい」

「センジュ、行ってこい」

「はい」

「お前なら出来る」

「うん」


3人に見送られ、センジュは階段を一歩づつ上がっていく。

まるで空に向かって歩いている様な錯覚が起きる程、クリアな階段だ。

下を向かずに、上だけを見つめセンジュは登った。


_フォルノスはまだ城に戻って来てない。パパはまだ苦しそう。私が・・絶対になんとかしてみせるから。



人間界に繋がる歪みを避け、センジュは更に上へと向かう。

「わ・・」


人間界への入り口から更に上に登った瞬間に空間が歪んだ。

突然景色が変わり、辺りが真っ白になった。


「これが・・天界・・」


まるで雲の上に居る様だ。

真っ白な景色だけが広がり、階段を登りきると目の前に門が見えた。


「・・・」


そっと、門のノブを手に握ると反応した門の扉がゆっくりと開かれる。


「何者だ!!魔族か!!」

「あ・・」

いきなり首に槍を突き付けられ、センジュは固まった。

被っていたストールを取ると背中の羽が見張っていた天使の目に入った。


「天使・・だが、羽根が片方だぞ」

「怪しい奴」

「わ、私・・ウリエルに用事があってきました」


ウリエルの名前を出すと、更に見張りの眉間にしわが寄った。


「ウリエル様だと!?ただの天使がウリエル様と気軽に会えるものか!怪しい奴だ!」

「捕らえる!」


_え、え・・ちょっと待って、すぐに会えると思ってたのに!!こんなハズじゃないのに!!!


簡単に捕まってしまった。


_羽生えてても意味ないじゃんかあああっ!!!


背中の羽根の存在を呪った。