明日、雪うさぎが泣いたら



・・・



大声で喧嘩を売ったのはいいとしても。
やっぱり、自室でうだうだしているしかない私は格好悪い。


《雪兎の君》


少し落ち着いたのを見計らって、雪狐がそっと前足を私の膝に載せた。


「ごめんね。呆れたよね」


『我が姫』なんて呼んだのを、さぞ後悔させただろう。
もしかして、ここについてきたことすら。


《いいえ。私は、貴女のそんなところを好ましいと思っています。きっと、あそこに居合わせた者たち、皆》


嫌がられたらどうしようと思ったけれど、誘惑に抗えず雪狐を抱き上げる。


「兄様とあの子の間で、行ったり来たりしてるんだよ。そんな女を好ましいなんて」

《おや。そう自己嫌悪なさいますな。私の可愛い姫には、悪女ぶるにはまだ早い》


ニヤリと笑ったのだろうか。
思わず、まじまじとその顔を見つめたけれど。


《失礼を。これは、私の希望も含まれております。もちろん姫は成長されましたが、ご存じなくとも私はずっと貴女を見守っておりましたからね》


子供扱いされたのだろうか。
ただの狐ではないことは分かっていても、ちょっとむっとしてしまう。