目を見開き、意図を探るように。
私の頭上で、主従など普段は感じられない親友たちの視線が行き交う。
『それは、こいつの安全を思ってのことか? 俺が断りきれず、またこいつを連れ出すんじゃないかと? 』
それ以外に、何があると言うの。
大丈夫よ、兄様。
今は、雪狐だっていてくれるし。
この子は、私を連れ去るような真似はしないもの。
思わず、ぎゅっと抱いてしまった雪狐が、気遣わしげに頬を寄せてきた。
『いや。自分が口説いている女の許に、友であるお前に通われるのは、いい気がしないというだけだ。お前が、私と小雪を取り合いたいと言うなら話は別だが』
至極真面目な顔で言い放つ兄様を、一彰はしばらく見つめていたけれど。
やがて息を吐くと同時に、ふっと視線を外した。
『……承知した。妹君ならともかく、恭一郎殿が通われている相手となれば、これはただの無礼でしかない。どうか、許されよ』
『此度はな。次は許さない』



