一彰が狐(?)にお供え物。
一体、どんな顔をして――というか、意外と簡単に想像できてしまうのがおかしい。
わりとお人好しで、ぶつくさ言いながらも付き合ってくれることからも分かる。
いや、今はそれよりも。
つまり、一彰は最初からこれが誰だか知っていたのだ。
そして恐らく、危険はないことも。
それなら、なぜ、ああも頑なに私をここから遠ざけていたのだろう。
《私の過ちです、雪兎の君。小さな貴女があまりに可愛くて、私は過ちを犯した。だから、ずっと見守っていました。それぞれの想いがどう移ろい、実を結ぶものかと。けれど、貴女を想うがゆえ、各人の意向が揃わず……今となってしまった》
それは、兄様のことだろうか。
何か心当たりがあるのか、一彰が面白くなさそうに鼻を鳴らした。
《……それに、その……実は》
落ち着いて厳かにも聞こえた声が、急に言い淀む。
何だか一気に人間味があるというか、親近感が芽生えたところで、衝撃的な事実が私の頭を殴りつけた。
《……あの夢の男子も、貴女に逢うのに消極的なのです》



