「……嫌がらせだわ」
不思議と、昨夜は夢を見なかった。
大分ほっとし、ちょっと残念――そんな気持ちが、一気に吹っ飛んだ。
「あら、素敵じゃない。でも、意外とど直球なのねえ」
長閑が興味津々で読んだ文は、兄様から今朝方届けられたものだ。
本当に直球すぎて、逆に嫌味である。
「嫌がらせだからよ、もう」
やはり、早々に決断するべきだ。
こんな文を毎度貰っていては、耐性のない私はいつか発狂してしまう。
教養のない私にでも伝わるくらい、文に塗した愛情。
焚かれた香が、今もほんのり漂っているのも。
どれもまだ、素直に受け取ることができないでいる。
実は、そんな私も朝一番で文を出した。
「大雪」
――一彰に。



