明日、雪うさぎが泣いたら


「わりとお得な男だがな、あいつは。……こうは思わないのか?今度もし、お前に同じようなことか起きれば、私はもう二度とお前を自由にはさせないかもしれないと」

「それなら、どうしてそう教えてくれるんですか?」


複雑そうに、それでも正直に教えてくれる。
兄様のそういうところが好きだ。


「狡いからだ。予防線を張っておくのが好きだからな」


質問の答えにしては少しおかしい気がして首を傾げると、小さく笑う。


「いや。まあ、起こってもいないことで悩んでも仕方がない。もちろん、諦めてくれたら、それが一番なのだけれどな。だが、どうせ駄々をこねるなら、もっと暖かい時期に言えばいいものを。……それにしても、薄着すぎないか。男の目を気にしないにも程がある」


眉を寄せて私を見ていたかと思うと、すぐにふっと庭へと目を戻した。


「だって、面倒なんだもの」


動きにくいのも、重いのも嫌いだ。
もちろん寒いのも嫌だけれど、あまり重ねると息苦しく感じてしまう。
女房装束だって、見ていて尊敬してしまうくらいだ。