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(……つまんないなあ)


どんぐりの実を拾うのも、もうとっくに飽きていた。
もうすぐしたら雪が降るかなと、空を仰ぐのも。
さっきまで付き合ってくれていた邸の子たちも、もう皆帰ってしまった。
毎日、一日の締めくくりは隠れんぼだと決まっている。
なぜって私は隠れたまま見つからないでいられるし、彼らは必死で我が儘姫を探したけれど見つからないふりができるからだ。


『どこか、違うところに行ってみたいな』


もっと自由で、楽しくて、キラキラした場所。
それがどんなものだか想像もつかないのに、私は憧れてばかりいた。

空想の友達や、格好いい男の子。
それはけして、名家のご子息やご息女ではなく。
上手く表現できないけれど、本当の私を好きでいてくれる――それは、私にとっては別世界の人間だと思えたのだ。


『…………? 』


(光ってる……? )


見間違いかと思うほど、点に近い光。
何だろうと深くは考えずに近寄った途端に、それは一筋の光となり、ちょうど子供の背丈分くらいの大きさになって私の目の前に現れた。


『……っ、うわ……っ!! 』

『ええ……!? 』


ごちん。

すぐそこで叫び声が聞こえ、正面に影ができたと思ったら、衝撃で目がチカチカする。
何が何だか分からないが、とにかくすごい音を立てたのはこちらの額だと思う。
涙目で睨みながら、無意識に痛む額に手をやったのに、どうやら相手も同じ主張をしたいようだ。
尻餅をついたまま、彼も同じくこちらを睨みつけていた。