「……でも……!! 絶対に何かあるはずです!! これからは、私も一緒に方法を探しますから。だから、だから……」


(諦めないでください。どうか、お願いだから)


そのお願いは、実際に病魔と闘う本人にとって酷だろう。
どこまで自分勝手なのだと罵りながらも、そう乞わずにはいられない。


「ああ、そうだな。頼りにしている……と言いたいところだが、あまり無茶をしないでくれ。お前が今度は何を仕出かすだろうと心配するのは、正直余程寿命が縮む」


不謹慎だ、冗談でも言っていけないことがあると言ってみたかった。
でも、それは紛れもなく本音。
これまでもずっと、私が大丈夫だからと笑って何かをやらかす度、そんな思いだったのだ。ううん、もしかしかしたら、本当に――。


「……小雪」

「……ごめんなさい。でも、私どうしても嫌です。あなたがいなくなるのを、ただ黙って待っているだなんて。絶対、絶対……受け入れられない」


返事をしないでいることに焦れたのか、静かに、しかし強い口調で名を呼ばれた。
それでも、想いは変わらない。
今は熱いこの手が、いつか変わってしまうだなんて、どうして耐えられるだろうか。


「恭一郎様だって、消えようとした私を引き留めたじゃないですか。私だって、全力で止めます。たとえ、御仏の意思とは違っても、私は絶対にあなたをただ行かせたりなんてしたくありません」


たとえ、どんなに神聖な使いが現れたとしても、たとえ、どんなにそこが素晴らしいところだったとしても。
私はこの人を連れて行かれたくないのだ。
そのせいで、私だけ別のところへ堕ちることになったとしても構わない。
恭一郎様が元気になって、少しでも長く一緒にいさせてもらえた後なら。