明日、雪うさぎが泣いたら






・・・



三日夜(みかよ)――などと言うと怒られそうだが、三日三晩悩み抜いたらしい恭一郎様は渋い顔をしていた。
答えは決まっているように見えたのだけれど、どちらにしても思うところがあるようだ。


「返事をする前に、念押しさせてくれ」


ドキドキしながら口元を見つめていると、まあ待てと止められてしまった。
期待と不安、どちらにも満ちた瞳で見上げられるのが煩わしかったのか、わざとらしい溜め息で不満を伝えてくる。


「夢の男はお前に会いたがってはいない。それを知った今、お前も再会は望んでいない。そうだな」

「はい」


迷いがあると思われないように、できるだけすぐに答えた。
注がれる視線は、信用ならないと言っているようだ。
私の目が揺れていないか、不審な点はないかと奥底まで調べられているみたいで居心地が悪い。


「知りたいのは、あの時何があったかという事実だけ。ここではない世界に行ってみたい……そんな気持ちはないのだな」

「……それは……」


つい、もぞもぞと動いてしまったのを見逃してもらえるはずもない。
どんな世界だったか記憶がないのだから、判断しようがない――ふとそう思ってしまった。
もちろん、今では皆と離れて、夢の世界で暮らしたいとは思わないけれど、今更そう付け足すのも怪しすぎる。


「予想はしていた。……それほど、私は劣るのだな。夢の男だけでなく、奴がいない世界の他の何かと比べても」


恭一郎様のことだ、この三日間ただ自問しただけではないだろう。
私の答えや反応を想定し、それへの対応策も用意してきたに違いない。
そして、今のこれは、彼にとって想定内の反応だったのだ。