図書室にはあまり人がいなかったけれど、そのふたりの先輩たちは私たちに気づいて顔をあげていた。
どうしよう……謝るべきだろうか。
望美ちゃんは『話しかけたい!』と言っていたけれど、江藤くんや火神くんに止められていた。
「……あれ、あの子って」
「なに、瑞樹の知り合いなの?」
このなんともいえぬ状況をどうするべきかと思っていると、ふと望美ちゃんが霧谷先輩と呼んでいた先輩が私を見ていることに気がついた。
私を見て、となりに座っている女の先輩と話しているけれど……。
なんとなく嫌な予感がした直後だった。
「あっ、ふたりともいたいた!お待たせ〜」
「ごめんね、ホームルームが長引いていて……」
「……っ!?」
図書室の扉付近から女の人の声がしたあとに、聞き慣れている柔らかな口調の優しい声が耳に届いたのだ。
顔を見なくてもわかる、その声の主は春哉くんだと。



