年上幼なじみのあぶない溺愛




「もしかして痛かった……!?」
「急に掴んで先歩き出すな」

「ご、ごめんなさい……」


 突然火神くんの袖を掴んで駆け足になったからだろう、彼はかなり不機嫌そうな声だった。

 けれど私からパッと顔を背けたままで、耳の赤さだけが目立っている。


「あの、火神く……」
「志羽、そのへんにしてあげて。火神がかわいそうだから」

「えっ……」
「とりあえず中に入るよ!」


 私は不安に駆られていたけれど、望美ちゃんは笑顔のまま図書室の扉を開けた。

 あとで火神くんに謝ろうと思い、図書室へ足を踏み入れたときだった。