年上幼なじみのあぶない溺愛




「火神くんも早く……!」

 あまりふたりを待たせては悪いと思い、火神くんのブレザーの袖を掴む。


「やっと来た……ってあれ、火神?なんでそんな顔があか」

「うっせぇ、しゃべんな」
「……ははーん、意外とウブなんだ」


 図書室の前に着いたところで、ようやくふたりに追いついた私と火神くん。

 私が火神くんを引っ張る形になったけれど、思いのほかおとなしくついてきてくれたため、あまりふたりを待たせずに済んだと思う。


「火神くんがどうしたの……」
「おい、宮下。早く手を離せ」

「あっ、ご、ごめんね……!」


 すでにふたりに追いついたというのに、まだ火神くんの袖を掴んでいたことに気づいた私は慌てて手を離す。

 怒っていないか心配になり、確認しようと顔をあげれば、どうしてか火神くんの耳がほんのり赤みを帯びていた。