「なんか裏があんだろ」
「なにもないよー?」
「うそつけ」
「本当本当。行けばわかるって」
やっぱり上機嫌な望美ちゃんを見て不思議に思ったけれど、なにもないと言い切る彼女は先頭を歩いて図書室へと向かう。
「あいつ、なに企んでんだ?」
そんな望美ちゃんのうしろ姿を見て、火神くんがあきれた様子で口を開いた。
「でも望美ちゃんはなにもないって言ってたから」
「信じるのかよ」
「うん!行けばわかるって言っていたし……」
「宮下に警戒心ってものはないのか」
「あ、あるに決まってるよ……!」
けれど今は、別になにも警戒することではない。



