「ありがとう……お願いしま、いや……でも、なるべく自分で起きたいな」
「寝ていて大丈夫だよ。むしろ寝ていてほしいかな」
「えっ、どうして……？」
「志羽の可愛い寝顔が見られるから」
本気か、それともからかっているのか。
わからなかったけれど、その言葉に顔が熱くなるのがわかる。
「やだ、寝顔なんて見ないで」
どんな顔をしているのかわからないのに。
寝顔がおもしろいという意味合いで見ていられたら恥ずかしくてたまらない。
「んー、無理なお願いかな」
「春哉くんのいじわる」
わざと怒ったフリをしてみせるけれど、春哉くんに小さく笑われてしまう。
「拗ねちゃったね」
「お、怒ってるの……！」
拗ねるって、本当に春哉くんは私のことを女性として見てくれない。
いつまでも子供相手の発言をされているようで、さすがの私も少し悲しくなった。
