「もー、あと少しがどうしてわからないのかな。俺がずっと志羽のことを女として見ているって」


 すぐに、その言葉の意味を理解できなかった。
 そのため数秒間ほど、春哉くんに頬を撫でられる中で固まってしまう。


 春哉くんが、私のことを女として……?


「……っ!?」

 それって、つまり、春哉くんはずっと私が望んでいたように女として接してくれていたってこと……!?

 けれど思い返す限り、幼なじみや子供として扱われていた気がする。


 私に気を遣っているのではないかと心配になった。


「え、あの……春哉くん」
「どうしたの?」

「私のこと、女として見ているって……ほんと?」


 なかなか信じられなくて。

 あまりにも春哉くんがさらっと、恥ずかしがらずに言うものだから、怪しんでしまう自分がいた。


「信じられない?」
「……ごめんなさい」


 正直に頷くと、春哉くんが小さく微笑んだ……けれど。

 その笑みがどこか怖くて、ビクッと肩が跳ねた。


「そっか。志羽は悪い子だね」
「へ……」

「ずっと一緒にいる俺のこと、信じられないなんて。だったら証明してあげるよ」


 逃げたほうがいいのかもしれない、と本能的に感じ取ったときだった。

 春哉くんが私と唇を重ね合わせ、キスしてきたのは。