「えっ、志羽ちゃん！？わざわざ戻らなくて大丈夫よ！」
頭を下げて引き返そうと思ったけれど、春哉くんのお母さんに止められてしまう。
「いえ、大丈夫です！」
「いいのいいの。春哉も志羽ちゃんがいたら嬉しいだろうし」
迷惑かと思ったけれど、むしろ春哉くんのお母さんが私を家に招き入れてくれた。
ここはお言葉に甘えて、家に上がらさせてもらう。
心のどこかで、春哉くんの寝顔が見られるかもしれないという期待を抱きながら。
「じゃあ私はもう出るから、ふたりで仲良くね」
「はい……！」
私が家に上がってすぐ、春哉くんのお母さんは外に出てしまう。
