愛を語るには、一生かけても足りなくて。

 

「……見てみるか」


 このときの俺は何故か、実際の店舗はどんな様子なのか、自分の目で見て確かめてみたくなった。

 普段はそこまですることは少ないけれど。

 考えているうちになんとなく、何かに引き寄せられるように店に向かって歩きだしていた。

 カラン、カラン……。

 サングラスを外して店のドアを潜れば、まずはジュエリー店らしいきらびやかなシャンデリアが目に入った。


「いらっしゃいませ」


 そして、次に目に飛び込んできた人物を見て、俺は一瞬、息の仕方を忘れるほど驚いて固まった。


「アヤ──」

「え……?」


 咄嗟に、彼女の名前が口をついて出そうになった。

 慌てて押し黙った俺は、夢の続きでも見ているのかと思いながら、彼女の顔を凝視した。


「──い、いや」


 だけどすぐに見ていられなくなって、帽子のつばを掴んで彼女から目を逸らす。

 嘘だろう?

 だって、こんな偶然があるわけない。

 今、目の前にいるのは俺がずっと会いたいと願い続けた"彼女"だった。

 一瞬、勘違いかとも思ったけれど、俺が彼女を──"アヤメ"を、見間違えるはずがない。