これを愛というのなら

大晦日の4日前ーーー。

朝に、母へ電話を入れて。

昼過ぎに実家に着くと。


出迎えてくれた母は、蓮を見るなり。


「あら、いい男ね」


そう言うと思ったよ!

母は、綺麗な顔で。

特に蓮のような切れ長の目が好きなんだよね。




「梓さんと、お付き合いさせていただいてます。それで今、一緒に暮らしてます。報告が遅れてすいません」


蓮が、そう父と母に言うと。


「梓が、お付き合いしてる人を連れて来るなんて…長谷川くんは梓と結婚とかは考えているのか?」


父が…いきなり、そんな質問をしてくれるから。

母も私も、瞳を合わせて。

二人同時に溜め息を漏らしてしまう。

親なら、当たり前の質問なんだろうけど……

蓮が挨拶して、付き合ってますって言っていきなりって。



「考えてます。今すぐにってわけではないですが。その時は、梓さんをもらいに来ます」


本当に言ったよ、もらいに来ますって。

また私は溜め息が出る。


「そうか。梓を絶対に泣かせないと誓えるか?」


蓮の瞳を見据えたまま、父はそう言って。

母もしっかりと蓮の瞳を見ている。


「はい。誓います」


蓮も、父の瞳を見据えたまま。

父に、そう言ってくれて。


「梓を頼む」


蓮の方へ、手を出して。

その手を蓮が握って。


「はい、任せて下さい」


笑顔で、握手を交わす父と蓮の姿に。

瞳が濡れたのがわかって、慌てて手で拭こうとすると。


母が、相変わらず泣き虫ね、とティッシュを私の前に置いてくれた。


それを1枚、手に取ると。


梓、こっち向いて、と言った蓮を見ると。

指で瞳に溜まってた涙を掬って、私が持っていたティッシュで、頬に流れた雫を拭いてくれる。


それを見ていた父は、泣き虫ですまない、と苦笑いをして。

母は、あらま!と微笑んでいて。


「梓さんの涙を拭くのは馴れてるんで」


蓮はそう言って、照れくさそうに笑った。


恥ずかしいのは私だよ。

両親の前で、まさか涙を拭くなんて。


「泣き虫な梓の側に、長谷川くんが居れば安心だな」


笑いながら言った父に、母も。

そうね、お父さん。と。


「ご飯まだでしょ?食べましょ?」


そう言って、立ち上がってキッチンへ向かう母に。


手伝うよ、と後をついていく。



「本当に梓は、いい人を捕まえたわね。しかもイケメン!」


お味噌汁を温めながら、私の腕を肘でつついて来るなんて母に。

見る目あるでしょ?と言うと。


「さすが、私の娘だわ!」


ふふっと笑うから、そうね、と返す。


小さい頃、お父さんみたいな人と結婚するって言ってた事を思い出した。

蓮は、やっぱり父に似てるのかな。


手を繋いでくれるだけで、頭にポンっと手を置いてくれるだけで、

絶対に大丈夫、不思議と怖くないって思えてくる、

安心する優しさが。

女の子が、最後に選ぶ相手は父親に似てる人だと聞いたことがある。

強ち、本当なのかもしれない。



母の料理を、お皿に盛り付けながら。

父と蓮を見ると、笑いながら談笑している。


父が気に入ってくれて、よかった。

蓮なら、きっと気に入ってもらえるって思ってたけど。



それからは、4人でご飯を食べて。

母の手料理を、蓮は美味しいと食べてくれて。

蓮に、いつか料理を教えてね、と言い出し。

父は、今度はゆっくり酒を飲もう、と言い出し。



帰る私たちに、またゆっくりおいで、と言ってくれて。


里芋の煮物を渡してくれた。

母の手料理の中で一番、私が好きな私の大好物。





ありがと。

蓮を受け入れてくれて。

今度、帰るときは……シスコンの弟にも会ってもらわないとね。

会わせなかったら、何かとグチグチ言われそうだから。