これを愛というのなら

蓮の車の方へ、

言い過ぎたかなぁ…っと考えてながら歩いている先に、


「倉本さん!」


甲高い陽気な声が届いて、そこを見るとニコニコ手を振る鈴木が立っていた。


「えっ?鈴木…もしかして見てた?」


鈴木の方へ歩み寄りながら、聞くと。


バッチリ見てましたよ!と。



坂口くんの時は利香に見られ、今度は鈴木。

二人のタイミングがいいんだが、私のタイミングが悪いんだが…

溜め息が小さく漏れてしまう。



「南さんが、心配だから、もう帰るなら駐車場で待っててあげてって言われたので。待ってたんです」


そういうこと。

タイミングのせいじゃなかったんだ。

にしても、利香は過保護過ぎだよ!


だけど、

どこから見てたの?って聞いてみると。


「島田さんが料理長に叫ぶように言った辺りからですけど」


それって、ほとんど私と同じタイミングじゃない。

だったら……


「助けてくれても、よかったでしょ?」


鈴木に言うと、行こうと思いましたよ、


「倉本さんが動けずに、二人を凝視してるから。そしたら、二人の方へ行っちゃうし。近くまで行って、聞き耳たててたら、カッコいいこと言ってるから」


見守ってたんです、と。


「えっ?私、カッコいいこと言った?」


とりあえず、寒いから車の中に行こう、と、

鈴木を車の中に促して聞くと。


「はい。普通なら、私の彼氏を取らないでって言うと思うんです。私もそういうと思います。でも倉本さんは、仕事の邪魔しないでって言ったじゃないですか?」


それがカッコいいなって思ったんです。


車に乗った鈴木が、そう言ってくれた。


「なかなか言えないですよ。それだけ…倉本さんが料理長の事を理解していて、尊敬してるってことじゃないですか?ただ、好きになったから付き合ってってわけじゃなくて…上手く言えないんですけど、いいなぁって思いました」



たしかに蓮のことは尊敬してる。

好きだって気づく前から。

だけど、100%理解してるかって言われたら…

まだまだ理解なんて出来てないと思う。

それでも、鈴木の言葉が嬉しかった。


だから、ありがとうって言うと。


「私も倉本さんみたいに、カッコいい女性になって。料理長みたいな素敵な彼氏を見つけます!」


いつもの無邪気な鈴木の笑顔を見せてくれた。



それから鈴木に、送ってくよって言うと。


「乗り換えもあって、遠いので駅まで送ってください!寒いので」


そう笑った、鈴木を駅まで送って。

買い物を済ませて、家路に着いた。