これを愛というのなら

階段を降りた所に、丁度いた利香に。

聞いてたわよって言われて。

サロンの横の給湯室で、


「いつから聞いてたの?」


私とすれ違いで、階段を降りていたらしい利香に聞くと。


最初から、って答えるから。


「じゃあ、助けてよ!」


利香の肩をポンっとした私を見て、ふふっと笑って。


「助けに行こうとしたら、料理長の声がしたからやめた」


かっこよかったわよね、とニヤニヤしながら私の表情を伺っている。


「蓮が坂口くんに言った事も聞いてたってことよね?」


もちろん!っと、また笑って。


「まさか、坂口くんが料理長の挑発に乗るなんて、さすがの私も予想外だったけど」


って。


「だから、気を付けなよ?なるべく私も駅までは一緒に行くようにするし、陽介さんにも言っておくから」


って、言ってくれた。


ありがとう、と軽く頭を下げると。


「それにしてもね。料理長が相手で、よく坂口くんも梓をしつこく誘うよね」


なんて、利香が言うから。


どういう意味?って聞くと。


「考えてもみてよ。絵に描いたようなイケメンで仕事も出来るんだよ。しかも、坂口くんから見たら、直属の上司だよ?その女を口説こうとしてるんだよ?」


蓮が絵に描いたイケメンかは、とりあえず今は別として、

たしかに私なら、直属の上司の恋人を口説こうとは思わないかも。


「料理長が言ってたように、いい度胸してるよ」


「たしかにね…」


納得した私に、利香は。


本当に気を付けるんだよ!と、もう一度言ってくれて。


頷いた私の、手を取って。


「私も料理長も、陽介さんもついてる!それに、頼りになるかわからないけど鈴木もね」


と、言ってくれた時に。


はい!っと、鈴木が、少しだけ開いていた給湯室のドアから、顔を出した。


鈴木がいつから聞いていたのは、さておき。

鈴木の気配を感じた利香がすごいよ!


「頼りになるように、ちゃんと私も倉本さんを守りますね!」


そう言って、笑ってくれた鈴木の頭を、

ありがとう、と撫でた。