事務所に戻ってから、さっきまで作りかけていた資料を開いて、そのまま保存した。





変わるかもしれないのに、進めても仕方ない。






これが終わったら、目を通すつもりだった、昨日の打ち合わせした新郎新婦の資料を開いた。







「あれ?梓、資料作りは?」





打ち合わせを終えて戻って来ていた利香が、それを覗き込んだ。





蓮が言ってたことを説明すると、なるほど、と。





「なら進めても仕方ないか。にしても梓と料理長は仲良しだよね?本当に付き合ってないの?」





「それ!私も気になってたんですよ!」





利香のデスクの向かいから鈴木が身を乗り出しそうな勢いで、食い付いてきた。





周りからはそんな風に見られているらしく、蓮の名前を出すとお決まりのように訊かれる。






「付き合ってないよ。ただ気が合うだけ」





「ふ~ん。付き合ってるみたいに仲良しだけど…」





「なんだ、つまんない」





利香と鈴木は、ガックリと肩を落として。





「料理長は人気あるんですよ、早く手に入れないと取られちゃいますよ」





鈴木の言葉に、うんうん、と頷く利香。





取られるって……私は別に蓮が誰かと付き合っても関係ない。





でも今みたいに、飲みに行ったり、何でも話せなくなるのは寂しいかな。