これを愛というのなら

あと、1ヶ月半!と気合いを入れた繁忙期真っ只中の日曜日。


いつもの所で、お弁当を食べていると。

利香もお弁当を持って、隣いい?と私の横のパイプ椅子に座った。



「利香がこんな時間に、珍しいね?」



「鈴木がね…ミスして、そのフォローしてた…」


それはそれは…お疲れさま、 と言った時、、、

インカムから、


"5組目の新婦様の到着予定時刻、30分前です"

連絡が入った。


"倉本、了解しました" と返事をした、私に。


「梓のインカムってさ、社内の全ての連絡事項が入ってくるのに、よくパニックにならないよね?」


って、聞くから。


「最初は誰への用件か聞き取りづらくてパニックになったけど、もう馴れたよ」


と、答えると、お弁当を食べながら。


「そんなもん?私は着けたことないからわからないけど」


じゃあさ!と私の方を向いて。


「料理長の声も聞けるよね?」


と、口元を緩めて言うから。


まぁね、と答えた直後に、



"そろそろメイン出してもいいか?"

インカム越しに蓮の声がして。


"お願いします"と披露宴の、配膳チーフが答えて、


"了解 "、蓮が言ったあと。


"倉本!2組目の新郎新婦さんの着替えが終わったら連絡入れてほしい "


"はい、了解しました "


"頼んだぞ "


と、インカム越しの蓮との仕事の会話。


それを見ていた勘のいい利香は、


「今、料理長とインカム越しに話してたんでしょ?顔が少し揺るんでたわよ。で、料理長はインカム越しでも梓って呼ぶの?」


って、からかってくるから。


「さすが、利香さん!インカム越しでは倉本だよ。バイトリーダーとかも着けてるからじゃない?」


と、腕時計を確認すると、15分前で。


なるほどね、と頷いた利香に、


「5組目って、利香の担当だよね?15分後に新婦さん、到着するよ」


と、言うと。


「お昼、今日はゆっくり食べそこねた!」


そう、拗ね気味に立ち上がった。


一緒に行くよ!と、階段を駆け降りながら、


「この前の件ね、やっぱり私の思い過ごしかもしれない」


利香に言うと、


「まだ陽介さんには、聞いてなかったんだよね。また今度、ゆっくり話そう」


って、肩に手を置いてくれた。




ほんの短い時間でも、利香と話せると楽しい。

どんな、話でも。

利香は、頼もしい同僚であり、私の大切な親友。