これを愛というのなら

「なんか今日、蓮が浮かない顔したんだよね。神前もあるって話したあとに。すぐにいつもの蓮に戻ったんだけど…気にしすぎかな」


ロッカールームに忘れ物を取りに行くと、ちょうど着替え終わった利香と鉢合わせして、


今、少しいい?と聞いて、いいけど、と言ってくれた利香に話して見る。



その神前の新郎新婦の担当が私なのは知ってるよね?、と前置きされて、頷くと。


「お正月のフェアにいらした時に、神前を気に入ってくれて、トントン拍子に成約に繋がったんだけど、陽介さんも新婦さんをフェアで見た時に驚いた顔したんだよね」


それで、


「しばらく仲良さそうに話してるから、知り合い?って聞いたら、高校の同級生って」


「チーフと高校の同級生なら、蓮も知ってるってことだよね。だからこそ、蓮の浮かない顔したのが気になってきたんだけど…」


髪をひとつに結びながら、元カノで。


「何かあって別れて、忘れられない人だったりするかもよ」


なんて言うから、やめてよ!と利香の腕を叩くと。

ふふっ、と笑った利香は、


「それとなく陽介さんに聞いてみるから、気にしない気にしない」


スーツのジャケットを羽織って、言ってくれたから。


わかった、ありがとう。


笑った私に、そうそう。


「今日も笑顔だよ」


と、背中をパンっと叩いてくれた。


そうだね、今はもう気にしないでおこう。