これを愛というのなら

「なぁ、お腹すいてないか?」


家に入って直ぐに蓮は、そう聞いてくれて、

空いた、と言った私に。


「これ、一緒に食べるか?」


と、持っていた紙袋を私の目線まで上げた。


作ってきてくれたの?と聞くと、


「中途半端に余った食材で作りおきしてた賄いの、肉じゃがを少しパクってきただけだ」


なんて言うから、それっていいの?って笑ってしまう。


「いいだろ、別に。作ったのは俺だから」


なんかちょっとダメな気もするけど、蓮の優しさが嬉しい。


「はいはい。じゃあ、お味噌汁と副菜は作るよ」


って言うと、


「俺が冷蔵庫にある物で作るから、梓はシャワーでも入って待ってろ」


勝手に色々と使わせてもらうな、と荷物をリビングのソファーに置いて言ってくれた。


本当に蓮は、優しい。

優しすぎる。




ーー私がお風呂から出ると。


いい匂いが漂っている。


タオルで髪を拭きながら、蓮。と横に立つと。


「梓って、料理するんだな?」


失礼なことを言ってくれる。


「しないって思ってたんだ?」


顔を覗き込んだ私に、思ってた、と。


「失礼ね!一人暮らしも長いから、多少は作れます!」


「ふーん。まぁ、でも。冷蔵庫にそれなりに入ってて、助かった」


そうですか、と髪を乾かそうと脱衣場に向かう私に、


「今度、作ってくれよ?」


って、猫なで声で言うから。

断れないじゃない。



本当は、嫌だったんだ。

蓮に、ご飯を作るの。

だって、味付けに色々言われそうじゃない。


「うん、いつかね。そのかわり、文句言わないでよ?」


「言わねぇよ。旨かったらな!」


って、蓮は微笑んだ。


突っ込みたくなった!

美味しくなかったら、言うんだって。






「うん!美味しい!」


髪の毛を乾かして、テーブルに並べられたご飯に、箸を伸ばした。


当たり前だろ?って蓮は、お決まりの言葉を言うから。


「誰が作ったと思ってんだ!」


そう、私が言うと同時に蓮も同じことを言って。

2人の声が重なって、笑い合っていた。