これを愛というのなら

翌日ーーー。

松田 裕司は、友恵からの電話を受けていた。


『もう裕司くんとは会えない…』


「どうして? 目的もまだ達成してないのにか?」


『知っちゃったんだね。私が裕司くんに近づいた理由を』


「うん、知っちまったな。だったらどうして会えないんだ?俺を好きになったからじゃないのか?」


『そうだよ!好きになっちゃったから会えない!』


「好きになってくれたんなら余計に会いたい。俺も友恵ちゃんが好きだから」


そして、いつもの待ち合わせ場所に来て、と。

待ってるから。



直ぐに、家を飛び出した裕司は待ち合わせの公園の噴水前にいた。

来るのかーー不安と焦りだけが募って汗のかいた手を何度も握って開いてを繰り返していると、、、


「裕司くん!!!」


自分の方へ一目散に駆け寄ってくる友恵の姿に、目を見張った。


来てくれた!本当に好きって思っていいんだよな?

両手を広げて、胸に飛び込んできた友恵を受け止める。



「私……裕司くんが好き!」


「先に言われちゃったな……俺も好きだよ!付き合ってよ?俺と」


「だけど……そんなことしたら……」


「したら?お姉ちゃんに何か言われる?される?そんな心配しなくていいよ、俺が守る!」


「うん!だけど、しばらくはバレないようにしないと……会わないって言っちゃったし……」


これだっ!

蓮が言ってた俺にしか出来ないこと。

好きだって言われたら、味方につけて多少の利用はさせてもらう。

不本意だけど、商店街を守るためだ。


「会わないって言ったなら、協力してくれる?」


「えっ……?」


「してくれないのか?」


「……私に出来ることなら……何でも言って?」


ありがとう、と微笑む裕司を見上げる友恵の瞳はうっとりしている。


友恵が惚れた裕司の真っ直ぐな優しい瞳で見つめられたら、友恵に断る選択肢なんてなかった。


「さて、今日はどうする?会ってるのバレたらまずいし……俺んち来る?」


「……うん……」


「安心して。俺は商店街の中のアパートで独り暮らしだから」


そう、裕司は松田青果の二階ではなく、商店街の1Kのアパートに住んでいる。


こうして二人は想いを確かめ合い、甘い時間を過ごした。


また連絡するな。

うん、今日は嬉しかったよ。