再度、名前を呼ぶと苦しいくらいに抱き締められた。
初めてではないけれど、今回は違う。
蓮の鼓動はかなり速い、私のも。
そして何より今は状況が違う。
過去の何回かは私が泣いていたからで、好きなだけ泣け、と抱き締めてくれた。
ふいに、力が緩んで顔を上げるとーー蓮の唇が私の唇に重なった。
目をゆっくり閉じて、蓮をなぜか受け入れていた。
「んっ…」
自分の口から甘い吐息が漏れて、蓮の広い背中に腕を回した。
一度は離された唇がまた重なって、今度は舌が滑り込んできて頭の芯から痺れるような感覚がして。
蓮のTシャツを強く握っていた。
それも無意識に。
気が付けば、蓮のキスの感じが変わっていた。
濃厚な熱いキスから、戯れて楽しんでいるような感じに。
逆に私も余裕が出来て、躊躇いも消えて、自分からキスをしていた。
こんなにも気持ちよくて、キスを楽しんだのは初めて。
どれくらいしていたんだろう。
何度目かわからない視線が重なった時、
終わらないキスに同時に笑っていた。
額と額をくっつけて。



