これを愛というのなら


「…変な想像してんだろ?」




乗れよ、と蓮は自分の車を顎で指した。





変にドキドキした、心臓はさらにドキドキが増して躊躇いつつ、助手席に乗り込むと、運転席に座った蓮は、





何もしねぇよ、とエンジンをかけて……



ギアをドライブにして、アクセルを踏んだ時、たぶんな、と呟いた。





たぶんって……



ハンドルを握る横顔を見ながら訊こうとして、止めた。




訊いてしまったら、心臓がもたなくなる……
躊躇いも全て蓮に伝わってしまいそうで……







「なあ、コンビニとか寄らなくていいのか?」




信号待ちの交差点で、いきなり問われて、



へ?と間抜けな声が出た。





「送ってく気はないから」




もう何も言い返す言葉なんて思い浮かばなくて、大丈夫だよ、って答えた。




残業で終電を逃した時のために、下着やお泊まり用品は鞄に常備してあるから。





ーーそれから程無くして、蓮の家に着いた。





地下の駐車場から、エレベーターに乗り、7階まで上がった。





一番奥の角部屋の鍵を開けた蓮に促されて、初めて私がまだ知らない蓮の領域に入った。