これを愛というのなら

繁忙期の目まぐるしい日々が、今年もやって来て。


「今年で、この時期ともサヨナラだね」


「寂しいのか?」


「うん、少しね。だから、今年は楽しむ事にした!」


「そうだな。俺も厨房を回すのは最後だな。梓が楽しめるように扱き使ってやる!」


「お手柔らかにお願いします」


明日から繁忙期という、前夜にこんな会話をしながら、笑い合っていた。




7年間、あっという間だったリュミエールでの日々。

辛いことも、苦しいことも、楽しいこともたくさんあった。

だけど、蓮と出会った場所。

たくさん蓮に甘えに行った厨房。

よく私が泣いていると、抱き締めてくれた厨房の勝手口横の、ゴミ箱の横。

毎朝、おはよう、と挨拶をして蓮が頭を撫でてくれていた更衣室前。


リュミエールの色んな場所に、蓮との思い出が詰まってる。


そして、リュミエールではたくさんの事を学んで。


チーフのような素敵な上司に会えて、利香という頼もしい親友に会えて、可愛い鈴木という後輩に会えた。

厄介だったけれど、頼れる島田さんという後輩にも会えた。

私がマリッジに移ってからも、婚礼の時は、全てのインカムの声を拾えるようになったって言っていて、A棟を回してくれた。





「そういえば、坂口と島田が付き合い出したらしいぞ。この前、坂口から聞いた」


「えっ?」


「何でも、お互いに俺らにフラれて飲みに行くようになって、付き合うようになったらしい」


「そうなんだ。幸せになってほしいね」


「そうだな。俺らみたいにな!」


蓮に憧れて、蓮に追い付こうと頑張って来た坂口くん。

私なんかに憧れて、私が任せらるまでになってくれた島田さん。

心から幸せになってほしい。