改札を出る人達が居なくてなってすぐに、その付近の灯りが落とされて、非常灯の灯りだけになった。





急に、なぜだか寂しくなった。




早く来て、と壁に寄り掛かったまま、しゃがみ込んだ。






時間にしたら、たった数十分だったかもしれない。


だけど、私にはすごく長く感じた。








梓?





急いで来てくれたのだろう、少しだけ息の上がった蓮の低い声が頭上に、落とされるまで。






「…蓮…急にごめん…」




「いいよ」




「蓮は優しいね」




「そうか…?それより、場所を変えようぜ?」





私に左手を差し出してくれた蓮の手を握ると、立ち上がらせてくれた瞬間(とき)、寂しさが急激に和らいだ。






手を引かれたまま、駅の駐車場に歩いて行く。






「ねぇ…場所変えるって…どこに行くつもり?」





背中に向かって訊くと、ため息交じりに、蓮が笑った気がした。





「…俺の家」




「えっ…?」




「どうせ、何も行きたい場所なんて浮かんでなかったんだろ?」





そうだけど…でも、二人きりの空間なんて…


はじめてで……変にドキドキし始めて。

何を考えてるんだろ?、と自分に呆れて。

小さな溜め息が漏れた。