これを愛というのなら

翌日も一緒に病院に行くと、

まだ点滴の管は繋がれてているものの元気な親父の姿に、ホッとする。

だが、俺を見るなり。


「まだ、今の所で仕事を続けるだろ?心配するな、まだ店に立てる」


予想通りだった言葉に、盛大な溜め息が出た。


「…いや、年内には辞めて。俺が店を継ぐ。親父がどうしても立ちたいなら、俺と一緒にだ」


しかめっ面のままの親父は、梓に視線を移すと。


君は?と、梓に問いかけた。


「私は…蓮さんと同じ答えです」


そうか、とだけ言った親父は。

彼女が一緒なら、と頷いて。


「店を頼む。お前が戻るまでは立たせてもらう。それまではランチのみの営業でな」


全く……この親父は……

これ以上の妥協は出来ないとばかりの、物言いに。


わかった。


「ただし、無理はするなよ」


承諾すれば、僅かな笑みを浮かべて。


「まさか、こんなに早くお前に店を継がせるとはな……だけど正直、嬉しいんだ。お前が店を継いでくれる事が。そして、こんな素敵な彼女と一緒に店を守ろうとしてくれてる」


これ以上に嬉しいことはない。


弱ってると人は本音が出る。

親父の言葉に目頭が熱くなって、梓を見るとやはり泣いていた。


「親父の店は、ちゃんと俺が梓と守る。だが、まだまだ元気でいてくれよ」


そうだな、孫の顔を見るまでは。


愉快そうに笑った親父に、まだ気が早いです、と。

泣きながら笑った梓の涙を、梓の目線に屈んで拭いて。


「本当に気が早すぎだぞ。結婚しても暫くは、二人の時間を過ごさせてもらう」


そうか、そうか、と笑ってくれた親父。



いつか孫の顔は、ちゃんと見せてやるよ。