ここはどこだろう、薄暗い部屋。天国だろうか、空き缶と剃刀は無い。意識もハッキリとしている、無事死ねたのだろうか、何の匂いだろう嗅いだことのある匂い医薬品のような消毒液のような匂い。病院だろうか、しかしベットや注射は無い。

看護師も医者も見当たらない。もちろん母の姿もない。

胸に手を当てると心臓の鼓動を感じる。生きてるのか、ここは何だろうか、私は死ねなかったのだろうか、ため息が出る。

不安で鼓動が上がる。

どこだろう、狭い部屋、誰も居ない。窓は無い。テレビモニターがある。地下だろうか、死後の世界なのか、解らない。

奥にドアがある。出てみる。ドアのぶを捻る。力よく押してみる。開かない。

逆に引いてみる。開かない。

閉じ込められているのだろうか、やはりここは閉鎖病棟だろうか、死ねずに家族に見つかり搬送されてここに連れて来られたのだろうか、ドアを叩く。

「すいません」

反応は無い。人の気配も無い。

そういえば傷口も無くなっている。そんなにすぐ塞がるものでは無いはず、やはりここは死後の世界だろうか脳内がめちゃくちゃだ。もう無になりたい筈なのに意識があることに少し安心している自分がいる。

ドアを叩く。

「すいません、すいません、誰かいますか?」

反応は無い。待つしか無いのか、部屋の中には散策するほどの物は無い。

テレビを見るにもリモコンが見当たらない。

少し待とう。騒ぐのは面倒だ。