死ぬ事に深い理由はない。それ以上の生きる理由なんて無いのだから、それだけ、今の私にとってはただそれだけの話だった。学校には何ヶ月も行ってない。

何度も考えた。何度も生きる理由を考えた、でも答えは出なかった。怠惰、卑屈、この先生きて行く理由がどうしても見つからない。

洗面所の鏡に写るのは醜い私、前髪が少し伸びて来たな、胸も少し大きくなった気がする。そんなんことはどうでもいい。左手に握るのは空き缶。右手には剃刀。ため息が出る。

「死のう」何ヶ月も前に決めた事だ。悔いなどまるで無い。

もっと綺麗に生まれてくればもっと違う答えがあったのだろうか、解らない。

今日もどれだけの人が生まれ、どれだけの人が死んでいったのだろう、分からない。

分かることは私の命なんて大勢の中のひとつ、誰の役にも立たない何者でもない数多くの脇役。いつ居なくなってもいい存在。何十億分の一、埋もれていく命。その中の一番最下層、誰も気付か無い。話題にもならないたったひとつの虚しい命に過ぎないのだ。

もう辞めにしよう。

命とはかけがえのない物、そんな学校教育の道徳は今の私は持ち合わせてはいない。一生懸命に命の尊さを語っていた学校教師も部屋に害虫が出たら急いで殺すはず説得力なんて皆無。

そんな物どうでもいい。

手首を切ると赤い液体が大量に流れてくる。水道の水と混ざり合いその薄紅は薄れていく意識の中で綺麗にも見えた。大量の睡眠薬とアルコールのせいで痛みは無い。

意識が遠のいてくる。嗚呼やっと終われる。私は安堵に包まれていた。