うんざりしてまた目を閉じようとしたら、両頬をふに、と壱につままれた。



「いい加減起きないと段階ふっ飛ばして手だすよ」



すぐ上から降ってきた低い声の意味を把握するより前に、私は目をひんむいた。



ゆ、ゆ、ゆゆゆゆ夢じゃないだと?!



ベッドに横たわったままバッと両手を挙げて、降参ポーズをとったら、壱がふん、と残念そうに息を漏らして、私から少し離れた。


でもどいてくれない。


私の顔のすぐそばにつかれていた壱の肘が、手になっただけ。腕のぶんだけの距離が開いたってこと。


でもまあ、馬乗りはされてるよね、いや乗られてはないけどね、重くはないけどね。あの夜とまったく同じ態勢だよね。