いやはや、私ちょっと、幼なじみコンプレックス(いちコン)がすぎるな。

夢のなかの私はサラリーマンみたいに額の汗をぬぐう。


壱の前でなぜか泣いちゃったことといい、反省、反省、猛反省…。

しながら夢から離脱して目を開けたら。



「あ、起きた」



目の前に壱の綺麗な顔があって、私はすうっと静かにもう一度目を閉じた。


最近の夢の構造は複雑だ。


18歳の壱のそれはもうかっこいい顔を至近距離で拝ませてくれる短い夢サンキュー、でも休日だからってそろそろ起きなきゃね、ごめんなさいね。


そしてもう一度、夢から離脱して目を開けたら。



「にーの」



さっきと寸分違わぬ壱の顔が、数センチ先にあって。

壱の両目は私を捉えるように見つめていて、壱の前髪は壱の顔に影をつくっていて。



そういえばこの角度の壱は最近の夢出現率ナンバーワン。

このパターンの夢オチ台詞は『仁乃、俺と結婚して』という呪詛的なホットワードなんだけど。

まったく何回同じ夢見せるんだ脳みそ。