ああ本当になんて身になじまない言葉だ。
だけど。
「私らから見たら仁乃ちゃんと相原くんのお話は、愚かな両溺愛モノなのよ」
新田ちゃんの言葉が、私の心に決定打を打つ。
両溺愛モノ?
ふはは、笑ってしまう。
笑っちゃうよだって。
「溺愛モノのヒーローは…他の女とやったりしないし」
軽々しく言ってみたのに、情けないくらい声が震えていた。
「あんたの幼なじみの溺愛は、普通じゃないからな」
それは、たぶんお互いさまだ。
私も全然、普通じゃないから。
「光太郎くん…壱、今日バイト?」
光太郎くんはにっと笑って首を横に振り、校舎を指さす。
「教室、残ってるよ」
1階の3年A組の窓へ目をやる。
私は3人にがばっと頭を下げて、泣きそうだから心のなかでだけありがとうと言って、また走りだした。


