まだうなだれたまま。
「しっかり者ぶってんのに頭も大してよくないとこ運動神経悪いのにスポーツ全般負けず嫌いなとこすぐ自分の世界でモード入るとこ俺のせいで卑屈なとこ俺を好きすぎてこじらせてるとこ」
「……」
「仁乃の好きなとこ。まだ聞く?」
「もういいです。てか壱くんってこんなに長台詞言えるんだね、てかさっきの全部短所じゃん仁乃ちゃんかわいそう」
そんなことを言う万里加さんを、心のなかでまた嘲笑する。
だからクソガキなんだよ。
「…万里加さん」
顔を上げて万里加さんを見ると、その猫目が存外真面目にこっちを見ていたから、迷ったけど教えてやることにする。
「全部好きってこういうことだよ」
分かったらさっさと沈黙せよ。
万里加さんは虚を突かれたような顔をしている。
やっぱクソガキ。
仁乃に指輪を渡したら、仁乃もこんな顔をするんだろうか。
あいつもクソガキなんだよな、困ったことに。
またため息。
ため息つきすぎて死ねそ。
俺が死んだら仁乃どうなっちゃうんだろうとか、自分が死んでからの仁乃のことまで考えてる俺末期。


