「…一晩ぐっすり寝て結構頭はクリアなので、殺めたりはしません」
「あ、そう?」
「凶器になるものも置いてきましたので」
「あ…あはは良かった」
引きつった笑顔で言う万里加さんは、カフェオレを一口飲んでからまじめな横顔で言った。
「で、壱くんの世界で天下とってる仁乃ちゃんは、あたしなんかに壱くんのなにを教えてほしいのかな」
壱くんの世界で天下とってる仁乃ちゃん、か。
万里加さんの的確な言葉に、私は目を伏せて、それから前を見て言った。
「…解せないんです」
「うん」
「万里加さん私、自分の浅はかさ、分かってるつもりです。天下の幼なじみだって、自分でも心のどっかで思ってたと思います」
「あはは、うん」
「思い上がりを恥じてます、でもそういうの込みでも解せないんです」
うん、とまじめな声で頷いてくれる万里加さん。
「…壱が、なんで私を悲しませること、したのか」


