ぐず、とすすると、ぼんやりした視界にまた薄い涙の幕が張っていく。
しゃくりあげそうになりながら、深呼吸する。
「理沙子…、私、JD万里加を…」
「誰やねん万里加。しかも女子大生」
「壱のはじめて奪った女…たぶん」
「まじか、その情報だけで色々読めたわ」
理沙子に言われて、目を閉じると涙がぽろりと零れた。
「で、JD万里加を?」
「殺っちゃうかもしんない…」
「それはやめとけな」
「やめとけないかも」
「…相原も色々恐いけど、仁乃、お前も恐いわ」
そうだよ、恐いのはたぶん、壱より私のほうだよ。
おかしいのもたぶん、私のほう。


