その時壱は…うん、 壱は、私のベッドに座って壁にもたれて、ぱらぱらと漫画を読んでいた。 私が理沙子から借りている少女漫画。 ちらりと見たら、確か6巻か7巻あたりだった。 もうそんなとこまで読んだのか。 さてはしっかり読んでないな。 そう思って。 「それ理沙子から借りてるやつ」 話しかけてみた。 「うん」 壱は漫画から顔を上げずに返事だけをした。 「おもしろい?」 「別に…」 「え、キュンとしない?」 「しない。つーか展開遅すぎる…」 気だるそうな声で言った壱。