ほとんど無意識に玄関でローファーを履いて、壱の家を出て、すぐ隣の自分の家に帰り。

ほとんど無意識に玄関でローファーを脱いで、家の鍵を開け、自分の部屋に帰ってきた。



ベッドに、ぼふ、と倒れこむ。



このベッドが禍々しい魔界への入り口になっていて突如異世界モノの主人公にでもなれたら、嬉々として壱のことなんて忘れられるのに。


魔界で私はなんか厳かな力をゲットしてなんか厳かな敵と満身創痍で戦いつつ、時々ボロ小屋でおいしいご飯をおなかいっぱい食べたりして、生きてる喜びを噛みしめて眠るのだ、壱のことなんて忘れて。




…ふは。


くっだらない脳内創作。





つかのまの現実逃避を一蹴して目を閉じみても、浮かんでくるのは結局、私を見下ろした壱の顔だ。